みずほリース

PROJECT STORY 02

不動産リースバック
プロジェクトグループのシナジーから、
従来のスキームに新しい可能性を

「リースバック」は、クライアント様にとって資金を調達したりなど、財務戦略において非常に有効なスキームだ。
それは不動産においても例外ではない。
昔から利用されているこのスキームに対して、これまでになかった要望を汲み取り、新しいスキームに昇華する。
ここでは、そんなプロジェクトに挑戦した3名に集まってもらい、
営業と投資家の二つの目線でストーリーを紐解いていく。

PROJECT MEMBER
加藤 孝彦
エムエル・エステート(株)
営業第一部
主任
(みずほリース㈱から出向)
2017年 入社(総合職)
安部 慎一
エムエル・エステート(株)
営業第一部
部長
(みずほリース㈱から出向)
2009年 キャリア入社(総合職)
窪田 貴光
首都圏営業第一部 課長
2020年 キャリア入社(総合職)

01

経営に資する提案に隠れた壁

ある大型商業施設を所有する小売大手企業様に、レジや店舗内設備のリースを行っていた首都圏営業第一部の窪田は、長く付き合いのあるそのクライアント様に対して、何か経営に資する提案ができないかと考えていた。そこで目をつけたのが、ノンコア不動産だったという。「対象となった不動産は、郊外型の大型商業施設でした。地域最大級の商業施設をクライアント様は賃貸していたんですよ。そこで、賃貸は本業ではないため、その一部でも自分たちで保有せずに当社でリースバックすることができれば、オフバランスが可能になるなと思ったんです。」と、窪田はプロジェクトのはじまりを話した。
「オフバランスとは、貸借対照表から固定資産を減少させること。これを行うことで不動産の時価変動リスクや災害による不可抗力を回避できるだけでなく、不動産売却益の計上や総資産利益率などの財務指標も向上させることができます。」と、窪田が話すように財務戦略の観点から大きなメリットがあるのだ。一方でリースバックとは、クライアント様が保有する固定資産をみずほリースが買い取り、そのクライアント様に貸し出しをするというスキームだ。これにより、クライアント様は売却益の計上や大きな資金の調達といったオフバランスの効果を得ながら、そのまま変わらずに継続使用できるというメリットが生まれる。一見すると理に適っている提案であり、クライアント様にも刺さった。だが、そこで出てきた「リースバックをした後、そのまま不動産をみずほリースにずっと持ち続けてもらいたい」という要望が、大きな壁になったのだ。

02

不動産スペシャリストたちの
不安と期待

「本来、不動産投資とは取得~賃貸運用~売却で完結するものであり、これはリースバックであっても例外ではなく、通常であれば一定期間保有後は売却など、将来的な出口ありきでの検討となります。しかし、今回は当社で“保有し続ける(=売却しないでほしい)”ということですから、本当に実現できるかどうか疑問に思っていました。」と、エムエル・エステートの加藤は話す。エムエル・エステートは、みずほフィナンシャルグループの中でも貴重な現物不動産を保有できる企業。みずほリース本体では不動産を持つことができないため、こういった案件が発生した際はエムエル・エステートとタッグを組むことになる。また、エムエル・エステートの安部も、「私は率直にできないと思っていました。対象の不動産は相応の築年数が経っていた物件でしたし、エリア的にも首都圏を外れている。運用の難しさ、そして、不動産そのものとしての価値をどう評価するか。我々にとって不動産を取得するということは、その不動産に投資をするということです。投資家として様々なリスクが見えたので、厳しいと思いましたね。」と同様の表情を見せた。「ただ、これが可能になれば当社にとって新しいビジネスモデルを生み出すことになり、クライアント様に対する存在感を増すことができるとも感じていました。」と、安部は話す。伝統的な不動産リースの在り方を越えた非常にチャレンジングな挑戦となった。

03

お互いにメリットを
出せるかどうか

これが実現すればクライアント様にメリットが出ることは間違いないが、こちらに対するメリットがなければ当然投資はできない。「まずは、長期で安定的に賃料収入が期待できる不動産だという裏付けをしなければなりませんでした。そして、そうなれるようにお互いが納得できる形になるまで交渉を重ねていったんです。非常にタフな交渉が続きましたが、結果的にはクライアント様と私たちの双方が納得できる賃貸借契約条件で着地させることができました。」と、安部は話す。
ただ一方で不動産自体の価値についてもクリアしなければ、懸念を拭えたとは言えない。「商業施設であり、不特定多数の一般の方が出入りする物件ということもありますが、私たちが物件を取得するまでに建築基準法、消防法などといった法的リスクをクリアする必要がありました。さらに、そのためには修繕が必要だったのですが、施設の一般利用者の方にも大きく影響がある修繕もあったため、想定よりも時間を要することが判明し、当初予定していた決済引渡日までに間に合わない可能性があったんです。」と、加藤は険しい顔で振り返る。「ですが、専門知識を持つ当部内の関係者に相談しながら、クライアント様にも現場レベルまで最大限の協力を仰ぐことで、実現できたんですよね。これも一緒に現場に通ってくれた、安部さんと、加藤さんのおかげです。」と、窪田は笑みを浮かべた。こうしてまた一つ、従来のビジネスの在り方を覆す、不動産リースバックの新しいビジネスモデルの在り方を生み出した。

04

EPILOGUE

このプロジェクトは、窪田の「何とかしてお客さまのニーズに応えたい」という営業目線の熱い想いからスタートしたものだ。しかし、そこには様々なリスクが潜んでいた。それを投資家として参画したエムエル・エステートに所属する安部、加藤が妥協せずに実現させていくという形で進み、見事にWin-Winに着地することができた。グループ同士のシナジーを強く発揮できた案件となった。プロジェクト後、クライアント様に一定の評価をいただいて、新たな商談につながっているという。不可能だと思えても、全員で可能性を追い求めていく。みずほリースらしい挑戦となった。