みずほリース

PROJECT STORY 03

スコットランド陸上風力発電所
開発プロジェクト再エネ開発投資分野の
更なるビジネス拡大へ

昨今、持続可能な社会を目指すために、また、世界的なエネルギー需給の逼迫の中で、
再エネ電源開発に向けた様々な取り組みが行われているが、その開発規模は大きく、また、高度なノウハウが求められるため、
多様な企業がグローバルに手を取り合わなければ前に進めることができない。
そこにみずほリースは、「ファンドとの共同投資」というスキームで寄り添っている。
2名で挑んだ、リースという枠組みを超えて、みずほリースとして新たな1ページを刻んだプロジェクトを追う。

PROJECT MEMBER
服部 真和
ファイナンス営業部 部長代理
(取材当時。
現在は航空機営業部)
2003年入社(総合職)
瓜生 幸平
ファイナンス営業部
2021年入社(総合職)

01

やるべきことに投資する

ファイナンス営業部は、みずほリースの中で投資対象のアセットを限定しない少し特殊な部署だ。ハイブリッド証券、買収ファイナンス、証券化商品、海外再生可能エネルギー・インフラ投資を中心とするプロジェクトファイナンスなど、国内外の多岐にわたる投資業務を担っている。そんなファイナンス営業部の服部のもとに、懇意にしているファンドから、『スコットランド陸上風力発電所開発プロジェクト』に対して、出資に参加しないかという依頼が入った。開発フェーズからスポンサーの1社として参加するというもので、『共同投資』と呼ばれるスキームとなる。
「私は新卒で配属されたばかりでしたが、異国の地で風力発電所開発に投資するというプロジェクトに対して、はじめて触れる投資スキームや50MWというスケールに率直に興味を惹かれました。」と、若手にもかかわらず、この海外プロジェクトの初期段階から参加した瓜生は話す。一方で「私はこの話を聞いた時は、やりたいなと考えていました。当社としても再生可能エネルギー事業への投資は社会的貢献の意義も含め、“投資すべき”という位置付けにしていましたから。」と服部は言う。世の中には様々な再生可能エネルギーの手法があるが、その中でも風力発電は比較的安定して電力を生み出せるものだと、服部は考えていた。確かに雲行きに左右され易い太陽光発電よりも、日夜問わず持続的に風が吹き続ける風力発電のほうが発電量の安定性について漠然ながらイメージが湧く。しかしながら、みずほリースには、海外再生可能エネルギーに関わるプロジェクトに“開発フェーズ”から参加した実績はなかった。

02

リスクリターンは
適正なのか

適正なリスクリターンか検証する上で一つの壁となったのは『インフレを背景とする欧米諸国の急激な政策金利の引き上げ』だったと、瓜生は険しい顔で話す。インフレでプロジェクトコストが膨れると、それだけ投資のリターンも少なくなる。一方で欧米諸国の政策金利引き上げは当社の資金調達コスト上昇を招く。だが、服部はまったくあきらめていなかった。「実は海外の洋上風力発電所や洋上風力海底送電線では投資経験があり、長期的に見ればどうなのかと視点を変えるなどして探っていったのです。マクロの視点、ミクロの視点で様々な角度から、問題の影響が総合的に許容可能なレベルだと納得できれば、充分に投資は可能であると思っていました。」と話し、続けて、「投資をすれば、開発フェーズから知見を確保できますし、そうすれば海外に遅れをとる日本の再生可能エネルギーマーケットにおいて、一般のリース取引のお客さまのお役に立つこともできると考えていたので、どうしてもやりたかったんですよ。」と、服部は口角を上げて言う。ただし、その判断を下すためには客観的かつ合理的な情報が揃えられなければ、みずほリース社内においても十分に説明・議論をすることはできない。そして、はじめて本格的に参加したプロジェクトだったにも関わらず、瓜生が大きな役割を果たすことになる。

03

ポイントになる条件を
引き出す力

風況予測は妥当なのか、ディベロッパーの実績は十分か、十分な経済性を確保した売電契約を結べるのか。必要な情報を集めながら、検証や交渉をすべき論点は多岐にわたる。「言語の違いに加え、金融や電力分野の専門知識が足りずに苦労することが多かったのですが、何とか解決の糸口になる部分を引き出せたのでよかったです。」と、交渉時のことを瓜生は苦笑いで振り返る。「そうですね、“ウクライナ侵攻に伴う電力需給の逼迫” や“GAFAを中心に再エネ由来電源との売電契約の争奪戦が進んでいるマーケット状況”について納得のいく理解ができたのは、プロジェクト検証の要点を整理する上で必要不可欠でした」と、服部はその戦果を称えた。こういった情報はファンド側との意思疎通に加えて、地道なマーケット情報の収集が必要であり、投資家としての腕の見せどころ。これを決め手に社内で丁寧に説明に回り、無事クロージングへと至った。
実はこの開発フェーズのプロジェクトへの出資は、一般的にリスクが高い要素もあり、メガバンクや地方銀行にとっては手を出しづらい領域であるため、当社にとって大きなチャンスだ。みずほリースには様々なファイナンスを通じてリスクを見極め、投資を数多く実行してきた実績がある。そこで培ったノウハウがプロジェクトを見る目を鍛え、可能性を見抜くことができたのだ。そうして実現につながったこのプロジェクトはきっと、再生可能エネルギーのグローバルな発展にとっても、みずほリースのビジネス領域拡大にとっても、大きな追い風になるだろう。

04

EPILOGUE

海外のプロジェクトであり、しかも開発フェーズから入る。これは、服部たちにとってこれまでにないほどの高難度となった。様々な壁を乗り越えて、検討期間1年以上を経てやり遂げられたことに価値があるが、一方で、出資を通じた脱炭素社会への貢献という側面でも当社の企業価値を大きく向上できたのではないだろうか。間違いなく海外における再生可能エネルギー・インフラ投資は加速しており、本プロジェクトにおける投資実績、ナレッジの蓄積はみずほリースにとってもその背中を大きく押すこととなった。自分たちが「やるべきこと」に対して、徹底して取り組む。そんな熱い想いが、次の未来を生み出していくのだ。